What we doHiLungの目的
"Inspiring Cell Technologies"
当社は、ヒトiPS細胞分化誘導技術を中心とした「肺幹細胞生物学」に基づく新たなサイエンスを通して、呼吸器疾患に対する進歩的な治療の開発を加速させるために創設されました。現在世界的なパンデミックとなっているCOVID-19をはじめ、呼吸器を侵す新興感染症は、定期的に発生して人類に対する大きな脅威となっています。また肺は、1日に2~3万回におよぶ呼吸を通して、臓器自体の伸び縮みによるストレスと取り込まれた外気の影響を常に受け続けていることから、慢性かつ進行性の疾患に苦しむ患者さんが大変多いのが特徴です。
このように、呼吸器疾患領域には高いアンメットニーズが存在します。その理由の一つとして、有効な創薬ツールが乏しいことが挙げられます。医薬品や治療法の開発では、細胞等によるin vitro modelやマウス/ラット等のげっ歯類等の動物のin vivo modelが頻用されますが、呼吸器領域においてはin vitroでの細胞培養が困難であり、進化上の問題からげっ歯類の肺は、ヒトの肺と構造的にも異なる部分が多い事が知られています。このような問題を反映し、呼吸器疾患に対する医薬品の開発成功率は、ヒトで初めて薬効が確認されるPhase2試験時点でも有意に他疾患に比して低く、モデル動物などを用いて予測された薬効がヒトでは再現されない、すなわちtranslational researchが十分に機能していない現状があります。
当社は、ヒトiPS細胞技術を用いることで、世界で初めて生体とほぼ同等のヒト呼吸器上皮細胞の大量かつ安定的な培養に成功しました。この技術で作成された「ヒト肺疾患モデル」、さらにはAIやデバイスによる高度解析技術を組み合わせることで、患者さんに使用したときに高い有効性が期待できる治療薬候補を予測・選別し、実験室内で効率的に見つけ出すことを可能にするプラットフォームを提供していきたいと考えています。このような基盤技術を通して、新たな医薬品や治療法の開発を加速させることで、呼吸器疾患が治り「誰もが深呼吸できる未来」の実現に向けて事業を展開いたします。